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時代箪笥の木庵田中は明治時代の和箪笥(骨董たんす)をリホームリメークして今の生活に使える時代箪笥を販売する京都の家具屋です。

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エッセイ右往左往item list

エッセイ右往左往は1月4月7月10月に更新します。


木庵の日々の出来事をつぶやいております どうぞお楽しみ下さい。 

  • 右往左往 2018 04

    毎日走り回っているつもりでも所詮大自然の掌で右往左往しているのが関の山そんな私のひとりごと(紫野 木庵 庵主 公童法師)No88

     

    五体投地(ごたいとうち)三月一日から始まる修二会(東大寺のお水取り)の本行の頃彼も自坊で修行に入った。まずは堂内を走りながら回る走りの行、差懸(さしかけ)と呼ばれる鼻緒の部分が紙で覆われた木の沓を履いてゆっくり歩き出し何周か回るとその差掛を脱ぎ足袋だけで走り出す。両手は衣の袖の中で腕を組みドドドドと床板を鳴らし和上さんから順番に礼堂に進み出、五体板に体を打ち付けまた内陣に入られる。十一人目の処世界役まで行は続くそして内陣と礼堂を仕切る帳()を閉じる合図で静寂の世界へ戻る。その後観音様に供えたお香水が参詣者にもまいらせられる。次は練行衆と呼ばれる僧の中から一人礼堂の五体板の前に進み五体投地礼を始められる。数珠で真言を数えそれが終わると右膝から板に体を打ち付け我々が犯した罪を懺悔される。体を打ち付けられるごとに堂内に大きな音が響き渡り、内陣から「五体打ちあげて入り給え」の声が掛かるまで行は続く。彼の場合は少し違う、走りの行は堂内ではなく二階から一階まで階段を駆け下りるドドドドの音。帳を閉じて内陣に入るは布団に潜り込む事になる。そして五体投地は洗面所で体を前後に揺する事だった、お香水はスポーツドリンク脱水症状には塩分の補給が必要不可欠そして。

    五体投地の図1

     

    身を投げて 我が罪悟る 似非僧都 春の便りか ツバメ舞う  (公童法師)

     

    過去帳(かこちょう)彼の内陣(布団の中)の行は続く、まず二日間の断食、唾を飲み込むと走りの行が始まり続いて五体投地が始まる。修二会では六時の行法と一日を六つに分けて行が進むが後夜と晨朝は深夜に及ぶ、そして東大寺を創建された聖武天皇から源頼朝公や歴代管長の名前を記した過去帳が読み上げられるが彼の場合は昔出会った人々が思い出される。お世話になった方いや増して彼には不都合な人達、40年前30年前こんなことがあったなと走りの行の様に頭の周りを巡る。一人思い出しては南無観と唱え二人思い出しては南無観世音と夢中で呟く、そして五日目の朝彼は帳の中から出ることが出来た。気がつけば髪と髭はボウボウにのびしかも産毛のように柔らかい、まだ白くはないが玉手箱を開けた浦島太郎の心境だった。東大寺の修二会も満行されたとSNSで知ったが昨年は山のように届いたお壇供(お供えの餅)が今年は届かなかった。

    「そらお見舞い届けへんかったしなー」と無情を感じる今「病気平癒の見舞い誰も来んなー」

     

     

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